K16クラス 第56回全日本選手権大会

K16クラス最大のイベントである第56回全日本選手権大会が、江ノ島ヨットハーバーをベースに、10月24日~25日の2日間で開催された。

 江ノ島のディンギーは、2020年開催予定だったオリンピックに向けて、2020年1月頃から陸置場所を葉山等に移し、コロナ禍による2020東京大会の1年延期を受けて、K16艇は2020年7月頃から順次この大会に向けて江の島に戻った。本大会を開催するにあたり、JSAFより感染予防策の徹底等ガイドラインの順守を求められ、極力集合を減らしパーティを行わないこととした。また、JSAFから提案された、コロナ禍の中での「新しいスタイルのレース運営マニュアル」を一部使用、LINEオープンチャットの機能を使用した出艇・帰着申告の受付を実施した。

 コースは、例年と同様、帆走指示書に、長いコースの「コース1」(上→サイド→下→上→下→上→下流し込みフィニッシュ)と、短いコースの「コース2」(上→サイド→下→上→下流し込みフィニッシュ)の2つのコースを設定し、どちらで行うかをスタート時の旗の掲揚で告知することとした。

[第1レース](第1日目)
第1レースは、風向E(90°)で短いコースの「コース2」(直線距離で約3,090m)で、11:20にスタートした。このレースを制したのは、USCの1132海上艇。第1マーク(上マーク)ではスタート後5分で、KSCの1131国分艇に続いて僅差の2位だったが、第2マーク(サイドマーク)でトップに立ち、以後トップを譲ることは無く、2位の早大OBの1051上村艇に2分近くの差をつけてフィニッシュした。3位は常勝のKSCの1140小山田艇、4位は1131号艇だった。

トップ艇のスタートからフィニッシュまでは25分、トップ艇のフィニッシュから9位の早大OB 1137遠山艇のフィニッシュまでは7分、10位の青学セーリング1087原田艇は14分後最終艇11位の青学セーリング1022山口艇はタイムリミット(トップ艇フィニッシュ後20分)まで8秒を残してフィニッシュした。このレースでは、本シリーズで唯一、出場全艇がフィニッシュしたレースだった。
[第2レース](第1日目)

第1レース終了後、マークの打ち直しは行わず、引き続き第2レースが行われた。風向E(90°)で長いコースの「コース1」(直線距離で約4,490m)で、12:16にスタートした。

このレースも、順風に恵まれた。飛び出したのは第1レースに引き続き1132海上艇。スタート後6分で第1マーク(上マーク)を1位で回航し、第2マーク(サイドマーク)、第3マーク(下マーク)でも1位、第4マーク(上マーク)ではで1140小山田艇に1位を譲ったものの、第5マーク(下マーク)、第6マーク(上マーク)で1位を取り戻し、そのままフィニッシュした。2位は全日本の優勝経験のある神奈川県庁1135中内艇が38秒後にフィニッシュ、その15秒後に3位の1131国分艇がフィニッシュした。1140小山田艇は4位だった。

トップ艇のスタートからフィニッシュまでは40分、トップ艇のフィニッシュから8位の青学セーリング1141土井艇までは5分、9位の1087原田艇は16分後にフィニッシュした。1137遠山艇は艇トラブルでリタイアしDNF、1022山口艇はタイムリミット(トップ艇フィニッシュ後20分)までにフィニッシュできずDNFだった。




[第3レース](第1日目)

第2レース終了後、風は振れなかったためマークの打ち直しは行わず、引き続き第3レースが,風向E(90°)で長いコースの「コース1」(直線距離で約4,490m)で行われた。当初13:22にスタート予定だったが、セーリング勘を取り戻した選手達によってゼネラル・リコールとなり、13:30にゼネリコ後のスタートをした。1137遠山艇は艇トラブルで帰港したため、10艇でのレースとなった。

このレースでは、第1レース、第2レースとトップを取れなかった常勝の1140小山田艇が飛び出した。スタート後7分で第1マーク(上マーク)を回航し、その後マークを回るごとに2位との差を徐々に広げ、2位の1135中内艇と3分8秒の差でフィニッシュした。3位は2位の1分47秒後に1131国分艇、その1分6秒後に1132海上が4位でフィニッシュした。

トップ艇のスタートからフィニッシュまでは48分。長いコースだったが、トップ艇のフィニッシュから13分後までにスタートした10艇全艇がフィニッシュした。


第1日目はマークの打ち直しが無く、14時31分に予定の3レースが終了した。例年、レース終了後にパーティを行っていたが、今回は新型コロナウィルスの感染防止のため、JSAFのガイドラインに則って、パーティは行わなかった。


【第2日目】

第2日目(10月25日(日))は、朝方は少し風があったが、昼に向けて次第に弱くなり、ついにはほぼ無風に近い状態になった。午後は、風が南へ回るとともに、次第に風が出て順風状態になった。





[第4レース](第2日目)

第4レースは、風が落ちることが予想されたため、下→上540mのコースを設定し、風向NNE(20°)で、コース短縮前提で長いコースの「コース1」(直線距離で約3,460m)で、10:30にエントリー全艇11艇がスタートした。

しかし、スタートの18分後にトップの1140小山田艇が第1マーク(上マーク)に達した頃から風が弱まり、風向も東へシフトした。トップ艇が第2マーク(サイドマーク)を回航する前にコース短縮を決定し、第3マーク(下マーク)でフィニッシュとすることにした((直線距離は約1,304m)。風が落ちたにもかかわらず、1140号艇はセーリングし続け、スタート後37分で第3マーク(下マーク)でフィニッシュした。その7分後に1131国分艇が2位でフィニッシュ、さらにその12分後に1135中内艇がフィニッシュした。しかし、ここでタイムリミット(トップ艇フィニッシュ後20分)になってしまい、他の8艇はタイムリミットでDNFになってしまった。


[第5レース](第2日目)

第5レースは、風向が安定し風が吹き出すまで風待ちを行った。13:00を過ぎて、風向が安定し、風も3m/secくらい吹いてきたため、本部艇を江の島寄りの北方向へ移動し、下→上870mのコースを設定した。

レースは、風向SSW(210°)、長いコースの「コース1」(直線距離で約5,580m)で13:55にエントリー全艇11艇がスタートした。

第4レースまでで、1132本間艇と1140小山田艇が1位を2回ずつとっており、勝った方が優勝する状況であった。第1マーク(上マーク)では1132号艇がスタート後11分でトップ回航、第3マーク(下マーク)まではトップを保った。しかし次の上りのコースで1051上村艇、1140小山田艇に抜かれ第4マーク(上マーク)では3位に後退してしまった。続いてKSCの1145梅村艇、1131国分艇、1135中内艇が僅差で回航し、白熱したレース展開となった。第5マーク(下マーク)と第6マーク(上マーク)では1140号艇がトップとなったが、上記6艇が僅差で続いた。フィニッシングラインへの下りの最終レグで1051号艇が抜いて、トップでフィニッシュした。37秒後に2位の1140号艇、その18秒後に3位の1132号艇、その80秒後に4位の1131号艇、20秒後に5位の1145号艇、2分後に6位の1135号艇がフィニッシュした。


トップ艇のスタートからフィニッシュまでは68分。10位の青学セーリング1022山口艇まではフィニッシュできたが、1087原田艇はトラブル等があり、タイムリミット(トップ艇フィニッシュ後203 分)までにフィニッシュできずDNFだった。レース終了後、16:00から江の島ヨットハーバーで、簡単な成績発表を行い、シリーズを終了した。



 日時:2020年10月24日(土)~25日(日)

場所:神奈川県七里ヶ浜沖(A海面)

天候・風、コース、Start時刻、終了時刻

参加:11艇

本部艇:Omoo(くろしおヨットクラブ)マークボート等:3艇(KSCテンダー、県連ボート、WINGⅡ)


[総評]

総合順位は、5レース開催で一番悪い得点を除外した結果、1140小山田艇が優勝となった。最初の2レースは調子が出ていなかったが、後半で盛り返しての優勝だった。1132本間艇は2点差で惜しくも第2位となった。最終の第5レースで、第3マークまではトップだっただけに、その後の後退が悔やまれる。第3位は1135中内艇、第4位は1131国分艇、第5位は1051上村艇であった。

K16クラスでは、例年4月から4~5レースを行い、集大成として全日本選手権を行ってきた。しかし、今年はオリンピックのために艇を移動しただけでなく、新型コロナウィルスの影響でレースが開催できず、協会のレースは全日本選手権のみを開催することになってしまった。

このため、選手の練習不足だけでなく、艇の状態も万全ではなく、ブロックが飛ぶ等のトラブルを起こす艇が相次いだ。また青学セーリングの学生選手では、今回が初めてのレース参加という艇もあった。強風が吹かなかったため、事故には至らなかったのは幸運であった。

2021年は、延期されたオリンピックのために既存艇の再移動が決まっており、新型コロナウィルスの影響も見通せないが、何とか数レースを行ってから全日本選手権に臨むようにしたいと願っている。

今回は困難な状況の中、林会長を始め、多くの方々に寄付や賞品を寄贈していただき、また県連他、多くの方々のご協力をいただき、何とか全日本選手権を開催することができた。この場を借りて、感謝の意を表します

(レースレポート入谷和彦)

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